婚活外来を受診する人が急増している
婚活というのは、結婚に向けての活動、つまり、結婚相手を探すための活動で、以前なら1対1のお見合いが主流でした。
これまでは、身近にいる人たちが結婚のお膳立てをしてくれる「お見合い結婚」か、自分で好きな相手を見つけて結婚する「恋愛結婚」の二通りでした。
しかし最近では、個人主義が当たり前になり、お互いに干渉し合わない風潮ができあがり、人間関係が希薄になってしまった結果、自分の身近からも、人の世話をやく人たちが消滅していきました。
そのようなことから、待っているだけでは結婚できないという状況が浮き彫りになってきて、効率のいい婚活パーティーや合コンで、結婚相手を見つけようとする方が増えているようです。
そもそも「婚活」と言う言葉は、成人になっても親と同居し続ける未婚者のことを「パラサイト・シングル」と命名したことで有名な、社会学者の山田昌弘氏が作り出した造語です。
「婚活ブーム」は、2007年ごろからはじまり、政府の少子化対策と相まって、完全に商業ベースに乗せられてしまっている側面もでてきて、悪質な結婚相談所や婚活サイトが問題になるケースもあるようです。
婚活パーティーに参加しても、理想の相手に巡り会い、お互いの合意のもとで成婚に至ることができなければ、ひたすら、際限のない婚活を繰り返さなければなりません。
つまり、長引けば長引くほど、先の見えない不安に苛まれるようになり、悪くすれば、うつ症状を呈するようになってきます。 そのようなことから、病院の中には「婚活外来(婚活疲労外来)」を標榜するところも出てきました。
「婚活外来」は、心療内科、精神科の診療対象で、自己否定感からくるネガティブな認知、何度も期待を裏切られることで生まれてくる「悲哀感情」、未来を見通せないことから生まれてくる「不安感情」など、婚活が要因で気分や体調の不調を診察して貰うための外来です。
その「婚活外来」を受診する人が、ここ最近急増しているようなのです。 1967年に、米国の心理学者セリグマンが発表した心理学理論で、学習性無力感というのがありますが、婚活が要因の心身の不調も、この理論で説明が付きます。
つまり、いくら努力をしても、望む結果が得られないという経験や状況が続いた結果、何をしても無意味だと思うようになり、何もする気が起こらなくなり、無気力状態に落ち込んでしまうのです。 そうならないためにも、誰かに相談するようにして、自分に中にため込むことは避けることが予防のポイントになります。